尾高さんのこと

 先日、ツイッターで尾高さんが来シーズンで音楽監督を離れると知って驚いた。元々契約がそうなっていたとのことで、そういうことならそうなのかと納得しなきゃならない。先日のNewKitaraホールSQの時もそうだったが、どうもそういうところが疎くて他の人が知っていることでも驚いてしまう。

 

 それから時々だけど尾高さんの演奏会のことを思い出す。実は若い頃から聞いてきた演奏会の中でも最多指揮者は誰かとなるともしかしたら尾高さんかもしれない。もちろん正確なカウントをしたわけではないけど、オケで一番多く聞いたのはもちろん札響だし、その札響の定期でも昔から尾高さんは随分と振ってきたからそうなんだろうなあということなのだが。それで尾高さんの指揮で一番古い記憶を探ると、今でも憶えているのが「ドイツ・レクイエム」。調べてみたら1983年の7月定期だった。静謐な中に穏やかに歌われる演奏にこの曲のすばらしさを知ったものだ。その後はブルックナーマーラーなどの大曲となると聞きに行った。ブルックナーだと7番、8番と9番を聞き、マーラーだと2番と5番を。札響定期のつまみ食い状態が続いたけど、転機は2009年。石川さんの「ドン・キホーテ」を聞いて、11月にエルガーを聞いたとき。この当たりからようやくなんかすごいことになっていないかとおぼろげながら意識し始めたと思う。翌2010年6月のデュリュフレのレクイエム、続いて9月のマーラーの第3を聞いて決定的だった。恥ずかしながらようやく第一級のレベルの演奏をしていることを悟った次第。そして2011年2月のショスタコーヴィチ第5番の超名演を聞いてノックアウトされた。5月にヨーロッパ公演を控えていたけど、これだけの演奏ができるなら向こうの聴衆も驚くだろうなと思ったものだ。

 

 それからはシベリウスグリーグのCDを買い、ベートーヴェンのチクルスを聞き、エルガーを聞き、CDを買い求めですっかり札響オンリーの状態になってしまった。こうなると返す返すも残念なのが「ピーター・グライムズ」を聞かなかったこと。他にも今になってなんでこれ聞いてないんだという演奏会がいっぱいあって悔しい思いをしている。こうしてみると以前から札響の定期の企画はすごかったんだなと思う。札幌のクラシック好きはつまみ食いなどせずに札響の定期会員になりましょう。今は関心がなくても聞けばこんな良い曲もあったんだと思うこと請け合い。個人的にはエルガー然り、シベリウス然り。来シーズンのプログラムも毎回すごい企画で楽しみだ。尾高さんはヴェルディのレクイエムとマーラーの第9という大曲を2曲、そしてシベリウスを完結してひとまず音楽監督を降りることになる。前々からぜひ札響でマーラーの第9を聞きたいと思い、以前アンケートでも希望していたのだが、こういう形で実現するとは。最近、ツイッター上でシェフがその地位を降りるときに振る曲にマーラーの第9が多いというのを読んだが、なるほどなと思った次第。

 

 尾高さんはもう十数年にわたって札響をリードしてきて、その間にオケは国際レベルの演奏をするようになった。3年前のヨーロッパツアーでそのことを証明したと思うけど、やはりこの功績はすばらしいものだと思う。私が若いときには日本のオケが欧米で絶賛される日が来るなどということは思いもしないことだった。でも、こうしてそれは現実のものになっているし、札響はその先べんをつけた。このことはこれからの1年をかけてじっくり噛みしめたいと思う。

 

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