グールドの映画

 今年最初の映画は「グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独」というグールドを扱ったもの。暮に彼の女性関係を取上げた本が出ていて、これはちょっとな、とグールド本ならほとんど手を出す私もさすがに遠慮したものだった。映画もこのようなものだったらと心配していたが、その点は大丈夫だった。いくつかの本でおぼろげに紹介されていた女性が登場した。4年間の付き合いだったが、結局結婚にはいたらなかったという。その理由というのが彼の「偏執症の悪化」とあってグールドの暗い面を窺わせる。若い頃の恋人も同じような理由で結婚しなかったといっていたから、やはり真夜中に悪びれもせず電話をかけてよこすグールドは身近な人には本当に困ったやつなんだろう。結局、彼は結婚よりも音楽を選ぶ。本当にやりたいのは音楽だったのだろうが、自分の性分を考えればうまくいかないという判断もあったのだと思う。子どもと動物が大好きだったというから、かなりつらい選択だったのではないだろうか。休暇で行ったバハマの砂浜でおふざけ映画に企画出演したグールドが少し悲しい。

 それとこの映画で知ったのが、例のチッカリング。このピアノの音を好んでいたというか、自分の表現に欠かせないぐらいまでに考えて、スタンウェイさえ改造してこの音に似せようとしたピアノなのだ。何となく元々グールド家にあったのだろうとしか思ってなかったのだが、実は、この由来が女性絡みだったというのも驚きだった。こうなると本当に表現に必要だったのだろうかと勘ぐってしまう。もしかして思い出としてという部分もあったのではないだろうか
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